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「ピアノを弾くために指を鍛えることは、散歩をするために逆立ちの練習をしていることにも等しい」

ピアノの詩人、フレデリック・ショパンは弟子に対してこのように語りました。

 

指を鍛える指導は現在の日本において、現在も主流だと思います。

これはおそらく、ツェルニーやハノンの影響が大きいと考えられます。

彼らは指の強化、指の分離を重視していたことは、その教材からもうかがい知ることができます。

 

ショパンはそれとはまったく異なる弾き方をしていました。

「弟子から見たショパン」(ジャン=ジャック・エンゲルディンゲル著 音楽之友社)

にもそのような記述が多く見られます。

ピアノを声楽のように歌わせる。

美しく響かせる。

そのためにはどのように打鍵したら良いのか?

身体の使い方はどうすれば良いのか?

ショパンはそのための奏法を、とても繊細に、そして緻密に実践していました。

それはたいへん合理的なものでした。

 

私自身は両者の弾き方を経験していますので、違いがよくわかります。

ショパン的な奏法の方が身体にやさしく腱鞘炎等の故障のリスクは激減します。

また、響きが豊かになり、音色も美しくなります。

そのようなピアノを奏でるため、我々は音の聴き方、身体の使い方から、丁寧に具体的にご指導いたします。

もちろん、ショパンの奏法だけでは足りないものがあります。

古典派を弾くには異なるアプローチも必要になります。

ロマン派以降の作曲家でも、シューマン、リスト、ラヴェルなどは、ショパン的な奏法が合わないことがあります。

ちなみにショパンの奏法の影響を受けた作曲家は、ドビュッシー、スクリャービン、そして意外なところではカプースチンもテクニカルな面に関してショパン的な奏法と親和性があると考えています。子どものための作品を多数作曲したギロックも!

​そういったことも含め、日々研究しておりますので、レッスンでそれを生徒の皆さまに還元していきたいと思っています。

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